食器のシェアリングサービスEPOCH TABLEの夏休み特別プロジェクト「#FOODラボプロジェクト」第3回の記事になります。
「#FOODラボプロジェクト」とは、EPOCH TABLEのスタッフがこの自粛期間中、あらためて気づいた食や器で楽しむ日常について、“より深く食と器を知り、楽しむ研究をしよう!”を合言葉に、食の専門家の方々から様々なお話やアドバイスをいただき、そこからの発見・驚き・学びを得るための企画。
「好きを仕事に」を企業理念として、手芸やフラワー、食分野の講師育成を行なっているオールアバウトライフワークス様にご協力をいただき、毎回、様々な食の専門家さまへのインタビューをさせていただきます。
さて、それでは早速! 今回お会いさせていただいたのは・・・?
日本で初めてキャラ弁の認定講座を開設された
沼端恵美子先生にお会いしてきました。
テーブルに並べられた、たくさんのキャラ弁を作るグッズ。「こんにちは~」と笑顔で迎えていただきました。
見たことがないグッズに興味深々の私たち。さあ!#FOODラボプロジェクト開始です。
編集部「先生、プロジェクトにご協力いただきまして、ありがとうございます。今日のこの機会を楽しみにしておりました。また、お弁当箱ではなくプレートでもかわいく楽しめる方法などもお教えいただけるとの事ですので、興味深くお話を伺いたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します!」
沼端先生「はい。今日は実際に盛り付けを行いながらお話しさせていただきたいと思います。宜しくお願い致します。」
沼端先生はそうお話しされながら、弁当作りのリーフレットをお持ちくださいました。
編集部「先生、こちらのリーフレットを拝見して驚いてしまったのですが、キャラ弁の世界がとてもロジカルに学べるのですね!!私の勝手な想像で大変恐縮なのですが、TVなどで目にした私が知っているキャラ弁は海苔をキャラクターの形に切ってペタペタと貼っていく世界かと思っており…。」
沼端先生「そういったキャラ弁ももちろんあるのですが、私には3人の子供がおり、栄養のバランスも考えて美味しく食べて育ってくれるようにしたかったのです。母が看護師な事もあり、私も母に倣って、バランス良く作るという事を考え方の基本として常に意識しています。」
と、笑顔でお話される沼端先生。先生が下さったリーフレットの見出しには“弁当の美味しさとバランスをUP”と書かれており、リーフレットの中には主食:主菜:副菜=3:1:2のバランスについて解りやすく解説されていたり、食材選びや調理のポイント、詰め方のコツやお弁当の種類までもがとても明確に書かれており、写真も含めて綺麗な図形で整えられたリーフレットは、まるで小さなキャラ弁の参考書をいただいたような気分になり、嬉しい気持ちになりました。
沼端先生「では盛り付けをしていきますね。」
編集部「はいっ。宜しくお願い致します。」
沼端先生「まずはスープから注いでいきます。」
編集部「先生、手に持たれているのは何でしょうか?」
沼端先生「これですか?ロートです。今日はバランス良くワンプレートキャラ弁を盛り付けていきますので、小さなグラスに汚れをつけず、上手に注いでいくにはこのロートがとても便利なんですよ。」
編集部「なるほど!勉強になります。」
盛り付けられていく工程は驚きの連続で、プレートにはその日のランチでしっかり栄養が摂れるように考えられた食事が可愛らしく並んでいきます。可愛さを演出するひと手間の技術が光ります。
例えば、ミニトマトはちょこんとヘタが付けられたミニミニ林檎になっていますが、倒れないよう後ろに細いパスタを揚げて作られたという支え足で可愛さを保つ角度が付けられていました。
美味しく食べられるバランスを考えて、尚且つ可愛い世界を作られているのです。
さて、次はこの可愛い世界を作られる先生の豊富な知識と考え方について紐解いていきたいと思います。
沼端先生の可愛く深いお弁当の世界をワンプレートランチに
編集部「とっても可愛いです。この可愛い世界を作るポイントをお教えいただいてもよろしいでしょうか?」
沼端先生「私の場合、キャラ弁も旬の野菜を使って野菜本来の色を生かしつつ、どのようにキャラ弁を可愛らしくできるか?というように考えていきます。着色料など使用せず、食材の色を大切にしてお弁当箱を開けたときに可愛い!と笑顔になってもらえるようなことを考えているんですよ。」
編集部「通常、キャラ弁はお弁当箱に詰められているものですよね。プレートだと開けた時の喜びという訳にはいかないですが、盛り付けはどのようにしたらこのように可愛くみえるようになるのでしょうか?」
沼端先生「お弁当は視覚的に横の面が見えないですが、プレートは横の面もしっかり見えます。なので、お弁当とは違ったキャラ弁の楽しみ方ができると思います。例えばこの主食のウサギさんはロール状になっています。断面から食材が見えますよね。」
編集部「本当ですね。色とりどりの食材が見えて食欲をそそります。」
沼端先生「お弁当と違って高さもポイントにできます。こうしてスープをグラスに入れて高さを出したり、蓋をかぶせるお弁当とはまた違ったキャラ弁の世界を楽しむ事が出来ます。」
編集部「日本もさることながら海外も“BENTO”ブームですので、先生が作られる栄養バランスも考慮されたキャラ弁にはきっと多くの人が驚かれるでしょうね~。」
沼端先生「そうなんです。学習院大学のゼミで学生さんにキャラ弁を作っていただく講座をした事があるのですが、その時の男女学生さんたちは初めてキャラ弁を作ったそうでイメージが変わった!驚いた!という声を沢山いただき、私もとても嬉しかったです。」
編集部「まさに!イメージが変わった!私も彼らと同じ気持ちです。こんなに栄養や食材を生かして作るキャラ弁を見たのは初めてでした。」
先生はキャラ弁をサッと手早くワンプレートに盛り付けられ、インタビューにお答えくださいました。
もちろんプロなので早さは当然の世界なのかも知れませんが、食材の鮮度に対する配慮やごはんやおかずを美味しく食べて欲しいという思いが込められている事をお話の中で知りました。普段、キャラ弁を教えられる際には食材をしっかり冷ましてから蓋をする、などお弁当ならではのポイントもお伝えされているとの事です。
食材の本当の美味しさを引き出す
編集部「#FOODラボプロジェクトはより深く食と器を知り、楽しむ研究をしよう!を合言葉に、先生方から様々なお話をお伺いしているのですが、今日はとても解りやすくキャラ弁を通して食に関する事や盛り付けのポイントをお教えいただいております。テーブルに先生のプロの盛り付けグッズがたくさん並べられている時からとてもワクワクしていました。」
沼端先生「まだいろいろあるんですよ。」
と写真のものを出してくださいました。
編集部「これは・・・」
沼端先生「ステンレスの針金で作った焼き印なんです。プレートにのせたウサギのサンドイッチの目、鼻、口の部分になります。」
編集部「とても驚きです。先生が作られたのでしょうか?」
沼端先生「私の手製です。用途やデザインに合ういろいろな焼き印をこうして作っています。今回は真っ白プレートでしたので、白のウサギが引き立つように耳の部分はパンの耳で作ったんですよ。」
編集部「パンの焼き目のような焼き印でしたら美味しく食べられますよね。そこまで計算されているとは本当にビックリです。実は取材にあたりいろいろ調べたのですが、日本でキャラ弁の協会は沼端先生が代表を務められている日本キャラベニスト協会さんだけでした。キャラ弁を習いに来られる方はやはりお子様がいらっしゃる方が多いと思うのですが、EPOCH TABLEのサービスは先生にとってどのような印象でしょうか?」
沼端先生「とても良いサービスだと思いました。ワークショップなどで可愛く食べ物を作り、パーティーの盛り付けまでを行なう…といった事もいいかも知れませんね。」
編集部「私共はお子様がいらっしゃるご家庭にも是非気軽に利用していただきたいと思っているのですが、ワレモノだから…という声をいただくこともありまして。」
沼端先生「こうして食の仕事をさせていただき、沢山のお子様にも体験いただいていますがお子様にこそプラスチックや使い捨てのものよりも、本物の食器を使って欲しいというのが私の考えです。子供って不思議なもので、大人と同じ食器で出してあげるとしっかりよそ行きの顔になるんですよ。本物の食器でしっかりカトラリーを使って食べる事は大切な学びにもなりますね。」
先生のお話は大変勉強になり、キャラ弁はもちろんの事、食についてこれほどにも深く考え、TVや雑誌などで普及に努めている方がいらっしゃる事に感動し、楽しい時間を過ごさせていただきました。
また、先生とのお話の中でお弁当や食に纏わる古書をよく読まれているというエピソードも伺いました。
貴重なお話しをありがとうございました。
沼端恵美子先生プロフィール】
一般社団法人日本キャラベニスト協会代表理事。お弁当、キャラ弁アドバイザー。
キャラクターの再現だけでなく食の飾りを取り入れ、栄養や衛生に配慮したお弁当作りに関する取材も多い。
代表的な制作物に一般財団法人生涯学習開発財団認定[お弁当学マスター認定講座]や『お弁当でSTOP!食品ロス2020カレンダー』がある。
#FOODラボプロジェクト 今回のワンポイントワードレッスン